「今、どこにいるの?」

自転車に乗って近場の
公園にむかう。

『どこだと思うの』

「家じゃないと思うよ。電話にでてくれたからね」

『正解』

自転車をこぎながらの
電話は難しいから
すぐ近場のベンチに座った。

「今から行くから場所教えてよ」

『イヤ。松本に会いたくない。』

「俺は会いたいよ。会いたくて会いたくて震えてる。」

思っていたよりも
硬質な声で否定されるけど
気にせずちゃかした。

『やめてよ。』

「繊細だね、境本は」

『………』

何も言ってはくれなくて。

「でも、電話を切らないくらい優しいし、話していたい程度には俺のこと好きでしょ?」
『…なわけ』

「素直じゃないところも、かわいくて好きだよ。でもね、君が俺をどう思ってるかもちゃんと知りたいな」

『…、きらいじゃ、ないだけ…』

「それはとっても大きい。大きな前進だね」

『松本は変だよ。普通の人のふりして、全然普通じゃない。普通の人は、私なんて、好、きにならない』

「泣いてるの?」

『泣いてない!!』