校舎の屋上に上がる階段。
机が並んで塞がれた
階段の先。
誰も来ないそこに二人で座り込む。

「境本は『押してダメなら、引いてみる』とかにめっぽう弱いね」

「うるさいぃ…っ」

溢れてくる涙を
カーディガンの袖で拭いた。
松本が私の頤を掴んで、
顔を向き合わせる。

「聞くよ、君の話ならいくらでも」

「んっ、うん…」

彼が、涙をハンカチで拭いてくれる。

嗚咽が深まらないように
深呼吸してから。

私の内側を
松本にわけた。