司書の田崎先生が
歩いてきて今日の当番終了を告げる。
鞄を持って、
図書室を出て、
帰る、のだろうか。
松本は先を歩き出してしまっている。

「……ぁっ」

だっていつもなら松本と。
松本。
私はいま死にたいから、
松本。
振り向いて、お願い。
私の話を聞いてほしい?
慰めてほしい?
私、わからない。
でも、松本、ねぇ。

自然とその背中に手を伸ばす。

「…ま、つもと…」

彼の学ランを掴んで、
声を絞り出す。

振り向く松本は
私の頭をなでた。

「境本、ちゃんと俺を頼って。せっかく君だけの味方なんだから」

「まつもとっ…、聞いて、くれる?」

「君の願いを理解できるのは、俺だけだよ。俺が君の話をきかないはずがないだろ」

「松本、」

「おいで」