「きれいだよ、境本。君のね、脆くて儚くて、今にも壊れちゃいそうな美しさを俺は讃えているんだよ」

体温の差で
松本の手を熱く感じる。

「君には分からない美しさで構わないんだけどね、穢くなんかないよ。」

手をブレザーに伸ばす。
うちポケットに
カッターが入ってる。
平常心を取り戻したかった。
けれどその手は
松本に阻まれる。
手首を捕まれて、
傷口に沿ってなめあげて、
体が震えた。
涙がぼろぼろ零れて、
そこでやっと松本は、負けたみたいな
顔をして私にワイシャツを
着せてくれた。