「境本、脱いで」

奥まった薄暗い
書架の間に座り込む私を
松本がいつもみたいに
優しく見下ろしている。

彼はずるい。

決して私に無理強いすることはない。

いつだって静かにみている。
私が嫌だと一度でも言えば
やめてしまう。
私たちは普通じゃない分
脆くて傷つきやすい。

それにこんな私を
気持ち悪いと言わない彼は特別な人。