「で、何で春日局様はここにいるんです?」

赤が春日局を見てそう聞く。


「ここに、家光様がいると思ってな」

「私に用だったの?」


というか、春日局様は、部屋にいなきゃあたしの部屋にいるだろうって思ってるって事だよね。


まぁ、あたしの部屋には常に誰かがいるんだけど。
主に、赤と家光とときどき春日局が!!


「家光様、大奥に顔を出して下さい。最近、何かと逃げ回っておいでですが、これ以上は見過ごせませんよ」


「えっ!!嫌よっ!」


家光はそう言って俯く。


家光?どうしてそこまで嫌がってるんだろう。

つい最近までは、進んでではないけど、公務だからって、頑張ってたのに。



「家光?他にお心を決めた方がいらっしゃるのですか?」


好きな人ができたから、行きたくないとか??


あたしが思い付いた事を尋ねると、家光は「違う」とゆっくり首を振った。


「違うの。前に正室候補の露草(つゆくさ)殿に襲われかけて…」


家光はそう言って必死に震えを抑えていた。


その姿を見て、怒りが沸き上がる。


城の中も、全然安全じゃないじゃん!
というか、そういう危険もあったのを失念してた。


あたしみたいに、家光は強いわけじゃない。
力じゃ男には勝てない。