『忍姫恋絵巻』



「赤を守るよ。守りたいって思うくらいには、大切…だから。こんな風に思うの、赤が初めてだよ」


こんな風に、苦しいときに傍にいてくれた。
あたしを受け入れてくれた人だから。


あたしは、赤の前ではじめて、笑みを浮かべた。


「…っ!?」


すると、赤は目を見開いて頬を赤く染めた。


「赤……?」


赤のこんな顔、はじめて見た。
なんで、顔赤いし、照れてるの??


「初めてだよ…俺だって…」


赤は小さく呟き、あたしに顔を近づける。それと同時に、頬を撫でられた。


「…え?今なん……っ!?」


そう聞き返したあたしの唇を、赤は強引に奪った。


「…んっ」

あたしの唇を、何度も角度を変えて奪う。
時には甘く噛むように、そして深く全てを奪うように。


頭が……何も考えられない…。
悲しい事も、触れられた喜びで、上書きされる。



赤……。

どうして、こんな風にあたしに触れるの??
あたしはどうして、赤に触れられるのがこんなに嬉しいんだろう。


大切だから…?
もしかして……あたしは、赤が好きだから?


赤も、同じように思ってくれてるの??
だとしたら、すごく嬉しいのにと思うあたしは、赤に恋をしているのかもしれないと思った。