『忍姫恋絵巻』



「驚いた、クスリ飲んでなきゃ、互角たったかもな…。ふっ!!」



そう言って、青年は剣をもつ手とは反対の手で、あたしの口元に布を当てられる。


「んん!!」


しまった!!
これ、またアブクマ草じゃん!!


意識が朦朧としてきて、口元から布をはずされる。


「くっそぉ………」


油断した!!


「おやすみ、お姫サン」


ぼやける視界の中で、赤い髪がムカつくくらいに鮮やかに見えた。


あ、後で覚えてろーっ!!

 
「しっかし……なんとも気の毒な姫さんだ」


意識を手放す瞬間、青年の同情するような声が、聞こえた気がした。