『忍姫恋絵巻』



「っ!!家光っ!!」



家光に何かあったんだ!
でなきゃ、雷鳴がここに来るはずない。


嫌な記憶が蘇る。


あの日…あの時の…。


『……笑っ…て…才氷…』


血まみれのあの人が、冷たい手であたしの頬に触れる感覚。


『……っ…どうして…っ』


ただ、泣く事しか出来なかった弱いあたし。


涙は止まる事なく、瞳から溢れる。


『…っ…君…が悪…いんじゃ…ないんだっ…』


あの人はそう言って笑った。本当は痛くて辛くて、恐いはずなのに…。


……あの人は笑ったんだ。