『忍姫恋絵巻』





♪〜♪〜


夜もふけて、月が顔を出した宵の刻。
ドンチャンと騒がしく華やかな祭が始まる。


あたしは空を見る。


「ふぅっ…」


安堵の息をはくのは、かれこれ何回目だろう。
家光の元には、雷鳴を見張りとしてつけた。


家光になにかあれば、すぐに駆け付けられるように。
今度は絶対…家光を恐い目に合わせない。

なんせ、あたしは家光のおうじさまらしいから。


あの日守れず、失ったあの人。
心はまだ捧げられないけど、家光を失うのは、嫌だった。


『…笑っ……て……』

あの人の声が聞こえる。


それは時にあたしを不安にさせ、憎しみを生む。


汚れの知らないあの人の命を奪った者への憎しみ。
そして、守れなかったあたし自身への怒り。


♪~♪~♪~


「不愉快…」


ボソリとあたしは呟く。祭を見渡せば、権力者達の笑い声に、うるさい祭りばやしの音。

良い顔して、相手の腹をさぐりあってる。