『忍姫恋絵巻』




「ごめん、行こう。祭の時間だし」

あたしは赤から目を離して、部屋を出て行こうとする。


考えなきゃ…。
春日局が動かないなら、あたしが動く。


懐にある笛を、服の上から押さえた。



「泣いてんの、気付いてなかったのか…?」


赤の声が聞こえたけど、あたしはそれところじゃなかった。


「…………おい、才氷」

「赤、早く。時間がない」


あたしが振り返って赤を急かすと、赤はなぜか、胸を押さえていた。


「何、してんの?」

「痛てぇなと、思ってね」


そう言って赤はははっと笑った。

はぁ??
何を言ってるの?祭り前からこの調子で大丈夫なの?


「変なやつ」


そう言って、あたしたちは祭場へと向かった。