『忍姫恋絵巻』



「………笑っ…て…」

自分と同じく、血まみれになったあの人は、あたしの頬に触れて、安心させるように笑う。


「…っ…ひっく…っぁ」

あたしは、泣き続けた。頬に触れてくれた手に、温かさはもう無い。


「………ひ……」


一つ一つの判断が、時として、命に関わる。

自分の浅はかさが、憎くて、悔しくて堪らない。


「…………才氷!!!!」

「っ!!」

突然肩を掴まれ、我に返る。
すると、目の前に心配そうな赤の顔があった。


あれ、赤??
あれ、あたし、何をしてたんだっけ。


「……………」


なにが起きたのか、一瞬、理解に遅れる。


「……どうした?」

心配そうにあたしを見る赤をただ見つめた。


「そっか、あたしはまた……」

まただ…。
また、こうやってあたしは闇に捕らわれる。


まるで、それがあたしへの罰みたいに。



しっかりしなくちゃ、赤に心配されてるようじゃ、家光を守れない。