「……………」
あたしは黙り込み、俯いた。
部屋は必然的に、赤と二人きりになる。
「才氷は、任務に感情を巻き込まない気がしたけど、違うみたいだな」
赤の言葉に、自分の気持ちがわからなくなる。
……任務、命令……。
あたしはそれを理由に、家光を守ろうとした?
仕えるとか、任務とか、命令とか…。
あたしはそんな理由で、家光を守ろうとしたわけじゃない、気がする。
だとしたら、そんな考えはすぐに捨てなきゃ。
もう同じ過ちは、繰り返さないって決めたから。
あの日、ただ1人と決めた主を守れなかったあの雨の夜を、あたしは何度思い出しただろう。
「…あぁっ…どうして…こんな事に…。どうして…」
あの時、14才だったあたしは、血に染まり横たわる、大切な主の亡きがらを見つめた。
ただひたすらに、どうしてと嘆いていた自分。
あたしは、弱くて、「守る」って言葉が、どれほど重く、責任のある言葉なのかを知った。


