『忍姫恋絵巻』




「家光様に赤をつけて。あたしが傍にいれない間に何かあったら……」


宝庫に閉じ込められたのも、もしかしたら家光を狙ってのことかもしれない。


「なんだ、やけに家光様を気遣うな。忠義でも誓いたくなってきたか?」


その言葉に、イラッとする。


あたしが、その話題に触れられたくないのわかってて、春日局は言ってるんだ。


「あたしの考えは変わんない。たとえ、家光様がいい人でも」



家光は、本当に優しくて、真っ直ぐで、あの人より先に出会ってたら、主として忠義を誓ったかもしれない。


でも、あの人に出会わないなんて、考えられない。



こればっかりは、あたしは変わらないんだ。
特定の主はもうもたない、あの人に全てを捧げたから。




「そうか、でも、赤はお前と祭に出す」


春日局は当然のように言い放った。


「どうして!?宝庫での事は報告しましたよね!?」


納得いかない!
家光を守るために影武者まで立てたんじゃないの!?


「大丈夫だ。お前は、与えられた任務だけ、こなしていればいい」


そう言って春日局は部屋を出て行こうとする。


「ちょっと!!」


引き止めるために声をかけたけど、春日局は振り返ることなく、部屋を出て行ってしまった。