『忍姫恋絵巻』



「おー、本当に綺麗なんだな」


桜の木上から聞こえる声に、あたしは笑う。


「でしょ、ここの桜は日の本一だから」


顔を上げると、あたしを見つめて笑みを浮かべる赤がいる。


仕事を終えたらここへ来るって言ってたけど、思いの外早い到着だ。


「俺が言ってんのは、桜を見つめる才氷が綺麗だって言ってんの」

「は、はぁ??」


とんでもない爆弾発言に、あたしは目を見開く。


は、恥ずかしいやつ!!
相変わらず、どうしてそんなためらいもなく言えるの!?


真っ赤になる顔を隠すように、赤に背を向けた。
すると、スタッと背後に赤が立つのがわかる。



「かんざし、つけてくれてんだな」

「ま、まぁね……」


後ろからフワリと抱き締められる。
そして、赤は髪に差したかんざしを指で遊ぶ。


チャリ…。


かんざしのかざりの音が鳴り、その度に胸が高鳴る。



「才氷、才氷の大切な記憶も人も想いも全部含めて、俺は才氷を愛してるよ」

「っ……あたしも。あたしも、赤のどんな過去も全部含めて愛して…る」


恥ずかしいけど、これだけは伝えたかった。