春が来た。
あの人とあたしが出会う約束の季節。
あの戦の後、家光は桜牙門の領地も徳川に加え、泰平の世を作るために本格的に公務に取り組み始めた。
忍びなど、身分も職も関係なく幸せに出来る世を作るのだと意気込んでいたのを思いだす。
あたしは、そんな家光に仕え続けている。
ただ、今日は休暇をもらい、桜牙門の城へと来ていた。
もちろん、この日の本1の桜を見る為だ。
「在政様、今年も綺麗に咲きましたね」
あたしは、普通の町娘の格好をして、頭には桜と椿のかんざしを差している。
めちゃくちゃだなとは思うが、どちらもあたしには大切な花なのだ。
「春が終わっても、あたし達は共に在ります」
季節に囚われず、共に羽ばたきましょう。
あたしが自由だというのなら、在政様も自由です。
フワッ
まるで返事をするように、春風があたしの髪を撫でた。


