『忍姫恋絵巻』



『ただ、生きていたのなら、才氷とあの桜をまた眺められたのに、とも思うよ』


そうか、だから在政様は……。


生きている幸せの終わりの悲しみと、解放される自由の喜びに、あのような顔をしていたんだ。


今、やっと分かった。


『才氷はどこへでも羽ばたける。生きているのだから』


パァァァッ!!


すると、天から光が差し込んだ。


「ま、眩しい!!」

『私と才氷は……心で、魂で繋がり合ってる…』



光で視界が霞む中、在政様はあたしを真っ直ぐ見つめていた。



「心で……」


前に、在政様はあたしを心の一部だと言ってた。


あたしにとっても在政様は心の一部で、失ったらあたしは壊れてしまうとさえ思った。


『この身を失っても、私はこの懐刀に宿り、才氷と一緒にいる。才氷の幸せをずっと願っている』


「在政様っ!!」


『共に生きよう。才氷の、大切な人達と共に……』



そして、光があたしを、そしてこの世界を包み込み、在政様の姿さえ見えなくなった。


『才氷!!』


すると、赤の声が遠くで聞こえた。
それに引き込まれるように、あたしの意識は途切れた。