『忍姫恋絵巻』



遠くに、信秋と御子柴が息絶えているのが見える。


これで……あたしの戦いは終わったんだ。
もう、体が鉛のように動かない。



「あぁ……」


キラキラと氷の桜が美しいなと思った。
空をボーッと見つめる。


「でも……やっぱり……あの桜が……見たかったな…」


春の季節、まるで雪のようにハラハラと降る桜を、また見たかった。


もう、それも叶わないのだと思うと、酷く悲しかった。


「赤……」


そして、あなたに会えなくなるのだと思うと、涙が流れるほど……苦しい。



ゴゴゴッ…。


建物が震え、地響きが鳴る。
もう、ここもすぐに崩れ落ちるのだろう。


あたしも、この瓦礫と共に消えるんだ。


ゆっくりと瞼が落ちていく。
もう、指1つさえ動かせない。


さよなら……あたしの、愛しい世界……。


あたしはそっと、瞳を閉じて、闇に落ちていった。