『忍姫恋絵巻』



「しまっ……」


油断した……。
あたしは、こんな時に信秋から気を反らしてしまった。


ギュッと目をつぶり、来るであろう衝撃に耐えようとする。


ザシュッ!!

しかし、いつまで経っても、その衝撃は来なかった。その代わり、体を温かい何かに包まれた。


「え……?」


おそるおそる目を見開く。
すると、笑みを浮かべる赤と目が合った。


「あ…か……?」

「才…氷……、馬鹿…ちゃんと、集中……しろ」


赤は笑っていた。なのに、その顔は青白い。


嘘だ……。
赤、まさかあたしを庇って……。



恐る恐る視線を下に向ける。


「っ!!」


すると、赤の足元には、赤い血溜まりが出来ていた。背中には、大きな斬り傷が出来ている。



「赤っ!!」

「はぁっ……大丈夫だ、死ぬほどの傷じゃねぇ……」


真っ青な顔の赤に、あたしは泣きそうになった。



今は死ぬほどじゃなくても、ほっとけば出血死する。
これじゃ、もう戦えない。


赤を、逃がさなきゃ……。