『忍姫恋絵巻』



「三良、刀を」

「ハッ、承知しました」


三良……赤は、あたしに刀を手渡す。


「ククッ、自分の刀も無いのか、徳川将軍は」

「これは、我らが領主の勝ちだな」

「女ごときが、国を納めるなど無理な話だったのだ!」


織田の家臣達がざわざわと陰口を叩くのが聞こえる。


今に見てればいい。
その女が、信秋を負かす所を……。


そして、あたし達の主が、どれほど心根が優しくて、泰平の世を築くかを。


「ほう、命知らずな…」

「慈悲深いんですね、信秋殿は」


あたしはにこやかに笑い、信秋の動きに合わせて刀を抜き放つ。


「では、合図は私が務めよう」


御子柴があたしと信秋の間に立った。そして……。


「始め!!」


その合図と共に、信秋はあたしに斬りかかる。



一気に終わらせる気か……。
なら、あたしも!!


あたしもすぐさま刀を構えて、信秋の刀を迎え撃つ。


キィィンッ!!


ぶつかり合って、手がジンッと痺れる。


やっぱり、すごい重さだ。


在政様との戦いしか見た事ないけど、流れるような在政様の剣筋とは違って、信秋の剣筋は滅茶苦茶だ。