『忍姫恋絵巻』



「三良(さぶろう)」

「はい、春日局様」


すると、口元を布で隠し、家臣の格好をした赤があたしのすぐ傍で控える。


あたしは家光に、赤はお付きの家臣として2人で城に入る。他は城前で待機だ。


下手すれば、このまま戦になるかもしれない。
そして、それで一番危険なのは、あたしと赤だ。



「では、こちらへ」

「わかったわ」


あたしは忠実に家光の口調を真似る。
チラリと袈裟に身を隠す家光に視線を向ける。


目が合うと、お互いに頷き合った。


大丈夫だから、信じて。
そう、お互いに伝え合うのが分かった。


そうして、あたし達は城の中へと足を踏み入れた。