「これは、あたしにこそ相応しい役目です。家光がそれに苦しむ事はありませんよ」


「でも、私はあなたが心配なのよ…」


俯く家光の頭にあたしは手を乗せた。


まったく、いつものお転婆ぶりはどうしたのだろう。
あたしは、こんな顔が見たくて戦ってるわけじゃないのに…。



「才氷……?」

「共に、笑い合って生きる世界を作るためです。だから、今はどんな手段でも試して、道を開かねばなりません」


首を傾げる家光に言い聞かせる。


「才氷は強いわね。どうしたら、そんなに強く在れるの?」



強い……か。
あたしは、決して強いわけじゃない。
弱くて、いつだって泣き出して逃げてしまいたいと思っていた。


でも、そうしなかったのは…。


「守りたいモノが…あるからなのだと思います」

「守りたいモノ……そう、だから才氷は強いのね」


納得したように頷く家光は、何かを吹っ切るように前を向いた。


「弱気になってごめんなさい。私は、あなたを信じてる、だから、この作戦は絶対に成功するわ!」


「ふふっ、それでこそ家光です」



そう、その笑顔を見ただけで、本当に成功すると信じられる。あたしの、力の源。