「それって……」
「心に、2人の主をもつ事を許していただけますか?」
二君に仕える事は、あってはならない。
でも、あたしにはどちらも選べないほど、とても大切な主だ。
「才氷、大切な人は、自然と増えていくものだもの…」
家光は、あたしに歩みより両頬をその手で包んだ。
「それを忘れろだなんて、私は言わない。それは、才氷を否定する事と同じだもの」
「家光……」
「でも、私は才氷に仕えてほしい訳でもないのよ」
そう言って笑う家光に、あたしは首を傾げた。
それは、私に主と思われたくないとか……?
不安になっていると、家光はあたしに深々と頭を下げた。
「主とか、関係なく……私の、友として、同志として共に戦ってほしいわ」
「!!」
主どころか、家光はあたしにそれ以上の繋がりの証をくれる。主よりも強く、固い絆を。