頭がボーッとする…。
何だろう、夢を見ているような、そんな気分。
「てめぇ、幻術使いか!!」
「おや、ご名答。私は、蜂須賀(はちすか)家頭領、六幻(むげん)、幻術を得意とする」
あぁ…。
赤と在政様が何か話してる。
なのに、言っている事も、何を話しているのかも分からない。考えたくない……。
赤に体を抱きすくめられていなければ、あたしは今にもこの腕を飛び出して、在政様の元へと向かうだろう。
「人を構成するのは、記憶。そして、記憶に眠る悲しみは、さらに対象を幻術へと縛り付けるのだ……ククッ」
「人の記憶に漬け込むとか、悪趣味だな」
赤はさらに強くあたしを抱き込む。
温かい……。
この手は、赤……?
少しだけ、頭の靄が晴れた。
「赤……」
「才氷、気を確かに持て。あれは、幻術だ」
幻術……。
あの、優しく笑う在政様が……。
「幻……」
そう、幻……。
在政様は、あたしの腕の中で亡くなられた。
こうして、こうやってあたしに話しかけてるなんてありえない。だとしたら……。


