『忍姫恋絵巻』



「それ以上、才氷に近づくなよ?」


赤から炎が放たれ、あたしを守るように視界を塞ぐ。


「もう遅いわ。そいつは、私の目と目が合ってしまった…ククッ!!」


そう言った男の体が、霧のようにサラサラと消える。
そして……。


「才氷……」


突然、背後から声が聞こえた。


この声……。
この声は、聞き間違うはずがない!!


「ありえない……」

「おい、才氷どうし……」

「嘘だ!!」



声を震わせて、荒げるあたしを、赤は驚いたように見つめる。


だって、こんな風に優しく、温かい声であたしを呼ぶのは、たった1人しかいない。


あたしはたまらず振り返った。



「才氷、やっとこうして会えた」

「っ!!在政様っ……!!」


そう、この桜色の髪と瞳をもつこの人は、在政様たった1人しかいない。