『忍姫恋絵巻』



「赤……」

「寂しそうな顔してる……」


あぁ、だから……。
赤はあたしを抱き締めてくれたんだ。


「赤、あたし……たまに怖くなる」


大切なモノをまた作って、失う事が怖い。


手の届かない所へ行ってしまったらって思うだけで、胸が苦しくなった。


「怖くなる?」

「うん。この手から、大事だと思えば思うほど、大切なモノがサラサラとすり抜けていく感覚……」


それはまるで砂のように、この手からこぼれ落ちて、2度と戻ってこない気がした。


「誰かとこうして心を通わせて、大切だと感じる温かさを、心地いいって思ってる反面、やっぱり、守れなかったあの痛みに怖くなる」


あたしには、何も救えないんじゃないかって…。


「…怖くない人間なんているのか?」

「え……?」


赤の言葉に、あたしは首をかしげる。


「俺だって怖ぇーよ。才氷を大切だと思ってるからなおさら、守れなかったらって考える」

赤は、あたしの頬を、髪を撫でながらそう言った。


赤も、あたしと同じ……?
大切だと思うから、怖くなる。