『忍姫恋絵巻』



「家光様を知ってるの!?さっさと吐いて!!」


あたしは男の胸倉を掴んでブンブンと振る。


「おいおい……勇ましいな、全く」


赤は、呆れたようにあたしを見た。


こっちとら、家光を探さなきゃいけないんだから!!
それに、公務に戻らせなきゃ。


「そ、それならさっき!!宝庫の方へ行きましたよーっ!!」


男は城の西廊を指差し、目に涙をうかべている。


はぁ?何で、宝庫なんかに?
絶対、悪巧みしてるに違いない。


「あのお転婆!!」


あたしは西廊に向かって叫ぶ。


「…はぁ……」


ため息をついて西廊へ向かって歩く。


「世話になった」


そう言って男に片手を振った。


「ななな、何なんですか!?あの人は!!」

「まぁ、許してやってくれ」


後ろで、男と赤の声が聞こえたけど、構わず家光の元へと向かった。