「そらぁ、化け狐に話しかけりゃあ怖いだろうよ」
すぐ背後で声がして、バッと振り向く。
そこには、面白いモノを見るような顔をした赤がいた。
「化け狐?失礼な奴!」
それにしても、ぎりぎりまで気配に気づかなかった…。
やっぱり、ただ者じゃない。
一度、奇襲でもかけて見ようかな。
そんな事を考えながら、赤をジッと見つめる。
「んー?」
赤の顔を凝視していると、赤が首を傾げた。
やばっ、見すぎた。
「あのぅ…………」
するとまた、別の男が恐る恐る声をかけてきた。
「何?」
イライラして、つい男を睨んでしまう。
「才氷、目が怖い。つり上がってるぞー」
「これは、面が狐だから!!」
全く!!人を馬鹿にして!!
「え……あ……。あの、実は、家光様なのですがっ!」
男はあたふたしている。