「伊津菜は、私が若い頃、怪我をして倒れていたところを看病してくれた村娘だったのだ」
「それで、惚れちゃったんだ」
ニヤニヤして、先崎を見ると、先崎は困ったようにゴホンッと咳払いした。
「あんまり、オッサンからかってやるなよ」
そう言って入ってきたのは、6歳くらいの男の子を右手にぶら下げた五右衛門だった。
「あたしは、アンタの事もからかってやりたいよ」
おまけつけて来ちゃってるけど??
いくらなんでも溶け込みすぎじゃない??
「こいつは次期八雲家の当主だぞ?」
「えぇ!?幼すぎるでしょ!?」
見た目あきらか10もいかない子供だ。
「私と伊津菜には子供はおらんでな、先喜(せんき)は拾い子だ」
「八雲 先喜です、よろしくお願いします」
先崎のすぐ隣に正座して、先喜は頭を下げた。
「八雲家は、ある意味自由思想だね」
「先喜には才能がある。生まれや血筋ではなく、個々の素質を大事にしてるのでな」
先崎のすごい所はそこだ。
常に先を見て、生まれ関係なく、優れた者を評価する。


