「才氷、こっちだ」
里の皆にもみくちゃにされるあたしを、先崎は引っ張り、屋敷に案内してくれた。
「先崎は、皆に信頼されているんだね」
「そうか、才氷からもそう見えるのなら、嬉しい事だ」
先崎はそう言って笑い、あたしの前に座る。
そして、その後ろに同じ歳くらいの女性が控えた。
「はじめまして、才氷様。私は、先崎様の妻の伊津菜(いづな)と申します」
そうして、深々と頭を下げた女性は、とても美しく、凛とした女性だった。
「先崎、結婚してたんだ……はじめまして、才氷です」
あたしも頭を下げると、伊津菜さんは首を横に振った。
「私は、今こそ忍びの当主の妻ですが、生まれはただの村娘なのです」
「村娘!?」
一体どんな出会い方したの??
あたしは先崎に視線を向けると、先崎はいつもの厳格な雰囲気ではなく、少し罰が悪そうにしていた。


