『忍姫恋絵巻』



八雲の里に着くと、そこにはひどく荒れ果てた大地が広がっていた。


「おかえりなさい、ご当主」

「今日も、ご無事でっ……」

「ご当主、お怪我はありませんか?」


当主である先崎に、皆が駆け寄り集まってくる。


「五右衛門もいたのか!」

「五右衛門~遊ぼうー!」


子供達が五右衛門に抱きついた。


「はいはい、仕方ねぇーな!」


そう言って子供達を抱き上げる五右衛門を驚きながら見つめた。


へぇ、五右衛門もこの里に馴染んでるんだ。
先崎の為なんて言ってたけど、きっと、この里の為でもあるんだ。



「こちらの方は……?」


里の人達が、あたしを見て不思議そうな顔をする。


「こちらは、服部家の次期ご当主、服部 才氷殿だ」

「どうも、よろしくお願いします」


あたしが頭を下げると、皆がこちらへ駆け寄ってきた。


な、何っ!?
なんか、人がわらわらと………。


「服部の忍びまで、手を貸してくださるとは!!」

「才氷様はとてもお強いのですね!」

「こんなに可愛らしい方なんて、感激です!」


一斉に話しかけられて、何だかよくわからない。
でも……。


ここは、すごく人が温かい。
大地が荒れ果てても、心を潤す事のできる当主がいるからこそだ。