『忍姫恋絵巻』



「在政様は、優しい方だったのに…」


人に裏切られるような形で殺されるなんて、どれだけ在政様の心が傷ついたか……。


あたしは、ゆっくりと在政様から渡された懐刀を構える。


「許さない。簡単になんて死なせない」


在政様の痛み、苦しみを分からせてやるんだ。
あたしの、唯一無二の主を奪った。


あなたしの中には、憎しみしかない。


「在政様、今…あなたの敵をとります」


ボワッ!!


あたしの回りに、凍えるような冷気が、吹き荒れる。
降りしきる雨が、あたしの冷気に当てられて、次々と凍っていった。



「これだ…この力だ!!忍びとは、このような術を使えるのだな!!欲しい…お前を手にいれるぞ、俺は!!」


「信秋様」

「御子柴、お前は下がっておれ!俺がやろう」


御子柴を下がらせ、信秋は槍を手にあたしに立ちはだかる。


「才氷ーっ!!俺に下れー!!」

「凍てつく精錬の造形、氷牙!!」


ブンッ、ガキーン!!


あたしと信秋の槍がぶつかり合う。
信秋の槍は、あたしの郡を粉々に砕いた。


強度が強い、氷は諸刃の剣だ。
もっと、純度を高めないと………。



「その力が欲しい!!さぁ、俺に膝まずけ!!」

「くっ!!うぁっ!!」


キーンッ!!


あたしは信秋の槍を懐刀で受け止めた。
その瞬間、体が後ろへと吹っ飛ぶ。