『忍姫恋絵巻』



「ずっと傍に、いるべきだった……」


ポタポタと流れる涙が、雨に溶けていく。


「守るなんて、あたしはっ……」


もう、在政様と言葉を、視線を交わす事もない。
あたしは、永遠に主を失ってしまった。


まるで、魂の半分を奪われたみたいに。


「見つけたぞ、服部 才氷」

「!!」


すると、不意に名前を呼ばれ、振り返る。
すると、ブンッと太刀があたしを襲う。


「っ!!」


咄嗟に距離を取ったが、あたしの腕をかすった。
そこから、血が流れる。


そして、そこにいたのは…。


「御子柴!?」


あの時、在政様に負けた男だ。


「桜牙門の若き当主も、この程度とは、つまらぬわ!!」


そして、また一人、御子柴の後ろから姿を表す。
それは…。


「信秋……お前っ!!」


あたしの、殺したくてたまらない、憎いあの男だった。




「その目が、堪らなくそそられる。絶望、喪失、恨み、憎しみ、悲しみ、痛み…。なんと愉快!!」


そう言って、ズサッと在政様から金の槍を引き抜いた。


ポタリと金の槍から在政様の血が流れる。