『忍姫恋絵巻』



「な、なんでっ…在政様!!」


あたしは、ただ泣きじゃくった。
それしか、泣くことしか知らない赤子のように。


「才氷……桜牙門にも、すでに…信秋の息がかかった…はぁっ、人間がいる…」


桜牙門に??
もしかして、今日在政様と出掛けていた家臣は!!


「織田と…戦うのを恐れた家臣は、信秋と……手を組み、私を…陥れた」

「そんなっ……」


誰よりも人を大切にするこの人を、裏切った??
そんな…そんなのって!!


悔しくて、噛んだ唇から血が流れる。
そんなあたしの唇を、在政様は優しく撫でた。


「自分を責めては…いけない…よ」

「こんな時まで、あたしの心配なんてしないでっ!!」


在政様は、馬鹿だ。
だから言ったんだ、警戒心が無さすぎる!!


信じすぎるんだ、在政様は!!


「私が死んだ後……桜牙門は、すぐに信秋に……奪われる。せめて……民がだけでも逃がして…ほしい」

「死ぬなんてっ、嫌……」


在政様はずるい。

勝手に命を諦めてる。
生きてと願うあたしの気持ちなんか知らないで!!