「もっと、私がうまく振る舞えれば良かったな…」
「……え?」
在政では珍しく、落ち込んでいるようだった。
書簡を見つめて、悲しそうに笑う。
「どのみち、桜牙門では戦が起こる」
そんな、それは在政様のせいじゃない。
信秋の私欲に巻き込まれただけ。
「自分ばかりを責めないで、在政様」
「才氷?」
在政様は書簡からあたしに視線を移した。その瞳は、不安げに揺れている。
「戦が起きない為の方法があるはず、それに、起きたとしても、皆が自分の生きる場所を守るために戦うんだよ」
「まだ、諦めてはだめだよね」
あたしの言葉に、在政様はゆっくりと頷く。
「よし!才氷、家臣達と話をしてくるよ。才氷は、少し休んでいて。最近、働かせすぎたから」
そう言って在政様はあたしの頭を優しく撫でた。
「それは在政様も一緒。無理しないで」
「ありがとう、才氷。才氷がいれば、私は大丈夫だよ」
そう言って、部屋を出ていく。
そんなの嘘だ。
在政様はこれから起こる戦は在政様の振るまいが悪かったと一部の家臣から責められている。
在政様は、桜牙門を守ろうとしたのに。
あの場をおさめられたのは、在政様がいたからだ。
どうか、在政様が傷つきませんように。
そう願いながら、在政様の帰りを待った。


