『忍姫恋絵巻』



冬の季節がやってきた。


在政様に出会った桜の季節から約1年。
桜牙門の情勢も、凍えるような吹雪に襲われていた。


「信秋が動いたね」


あたしは、書簡を読む在政様に声をかける。


書簡には、こう書かれていた。


"今度は領地をかけた余興をしようぞ"


たったそれだけ。
信秋は、領地よりもこの状況を楽しんでいるように思えた。



「戦えるモノは残して、民を逃がさなければね」

「在政様、どこかへは援軍を頼んでみては?」


信秋は多くの領地を取り込んで、兵の数も多い。

それに対して桜牙門は、桜牙門の兵しかいないから、あっと的に数が不利だ。


「それは出来ないよ。一度援軍を頼めば、今度はこちらも援軍に駆り出される事があるって事だ。そうすれば、桜牙門は永遠に戦に投じる事になる」

「在政様……」


在政様は、先の先まで見据えてる。
桜牙門が戦に巻き込まれないようにする為に。


本当に、先見の明かりをもつ人だ。