『忍姫恋絵巻』



「在政……」

「うん?」


もう、隠し事をするのは止めよう。
在政はなんでも話してくれて、あたしを信じてくれた。


あたしだけ何も話さないのは、違う気がした。


「あたしは、服部 才氷。服部家の次期当主」

「!!そう……」


在政は一度驚いた顔をしたが、そのまま聞いていてくれる。


「服部は、徳川の忍びで、父上も徳川に仕えてる。でも、あたしは徳川に使える気はないから」

「そうなの?」


「うん。徳川の当主の事を知らないし、あたしは、自分の信じられる主を見つけたいから」


そして、その主をあたしは見つけてしまった。
あたしはきっと、在政の忍びになりたいと思ってる。



「それを聞けて良かった」

「え…?」


そう言って、在政はあたしの手をとった。


在政…?
急に、何をして……。


「ずっと、才氷に傍にいて欲しいって考えていたんだ」

「は?それって……」

「才氷、私に仕えるとかじゃなくて、一緒に私と桜牙門の桜を守って欲しい」


在政は、穏やかな瞳であたしを見つめる。


あたしに仕えてほしい訳じゃなくて、傍にいてと言う。
そういう在政だから、あたしは傍にいて支えたいと思えた。