「夏の日に見る氷の花は、春の舞う桜と違って、また美しいモノだね」
「え……?」
在政は、立ち尽くすあたしの隣に立つと、一緒に月を見上げた。
在政は、ここまできても、あたしを責めない。
どうして桜牙門にいるのか、徳川の忍びじゃないのかとか。
「聞かないの?」
さすがに人が良すぎる。
逆に、心配になるよ。
あたしは月から視線を外し、在政をまじまじと見つめた。
「聞かれたいのかな?って、この間もこんな会話をしたね」
そう言って笑う在政に、あたしは、苦しくなった。
在政は、聞かれたくないって分かってるから何も聞かない。
あたしを、信じてくれてるの?


