『忍姫恋絵巻』



桜牙門までの道中、夜営の準備をしている途中に、あたしは少しその場を離れて、1人になった。


木々に囲まれながら、あたしは月を見上げる。


ついに、氷術を使ってしまった。
服部の忍びだって、在政や信秋にバレたかも。


帰りは必死で、在政は何も言わないけど…。


「やっちゃったなー」


そろそろ、桜牙門からも手を引かなきゃかな…。
でも、離れたくないな…。


「落ち込んでるね、才氷」

「!!」


一番会いたくない人が現れた。
振り返ると、笑顔の在政と目が合った。



「気にしてるの、氷術を使ったこと」

「まーね」


あぁっ!!
やっぱり、バレてる!!


氷術は、服部が受け継ぐ術だから…。


「服部の忍びだったんだね、才氷」

「……うん」


徳川の手の者だとか、思われたかな。
何も言わなかったわけだし、いつかバレるのは分かってたことだ。


ただ、思いの外早かった。
もう少し、一緒にいられるような気がしてたから。