『忍姫恋絵巻』



「才氷、君は……」

「ほう!!何やら面白い事をしてくれるのか!!」


在政の動揺と、信秋の高揚を感じる。
あたしは、それを無視して片手を前に出して瞳を閉じた。


集中して、氷の花が、花開く瞬間を。


「氷花!!」


パリンッ、キィィン!!


「ぎゃーっ!!!」

「うがぁぁぁっ!!」

「ぐふっ!!」


そして、氷の花が織田の家臣達を突き刺した。
そして、誰一人として動かなくなる。


「はぁっ、はぁっ!!」


あたしは肩で息をしながら、そっと息を吐く。


よかった、うまくいった。
もう少し、術の練習していれば良かった。

ちょっと、やりすぎた。
急所、ちゃんと外せたかな??


皆が、あたしを見て驚きに目を見開いている。


「在政!!早く逃げるよ!」

「!!」


あたしの声に、在政は我に返る。
そして、あたし達はそこから走り出した。


「才氷…と言ったか!!面白い!!面白い奴だ!!」


背後で、信秋の声が聞こえたけど、無視をした。


「桜牙門…必ずまた会うぞ!!」


信秋は不吉な言葉を残した。


その後も、立ちふさがる敵を倒し、道を開いて、ようやく織田の領地を出たのは、夕暮れ時だった。