『忍姫恋絵巻』




「在政…」


あたしは、在政の刀を握る手に、そっと手を重ねた。


「才氷…?」

「在政、すごい強いんだ。驚いた」


あたしが笑うと、在政は不思議そうな顔をした。


「桜牙門の当主の強さに、それで、そのまっすぐに民を思う在政に感動した」


だから、あたしもフリとはいえ、家臣として応えよう。
この場を覆すような、在政の道を作ろう。


「あたしが道を開く。そしたら、一気にここから逃げ出すよ」

「才氷、何を…?」


あたしは、さっき在政がそうしたように、視線だけで「大丈夫」と笑ってみせた。


そして、あたしは在政の前に立ち、信秋を見据える。


「手始めに、お前から殺そうか」

「それが出来るなら、勝手にすれば?」


あたしは左手で印を結ぶ。


「なら、言われた通りにする事にしよう。行け」


信秋の一言で、一斉に織田の家臣があたし達を襲う。


「才氷!下がるんだ!!」

「凍てつく、精錬の造形……」


ブワッ!!!

冷たい暴風が、あたしと在政達を守るように吹き荒れる。


「な、なんだ!?」

「風が!!」


織田の家臣達は、そのままあたし達に近づく事が出来ない。


集中して、想像するんだ。
修行では、ちゃんとうまくいった。



ここまで、大幅に術を使うのは初めてだけど、やるしかない。在政達を守らなきゃ。