織田城、謁見の間。
「よく来た、桜牙門の当主、在政殿」
対等であるはずなのに、織田 信秋はまるで、自分が上であるかのように上段に座り、威圧的な笑みを浮かべる。
「お招きくださり、ありがとうございます、信秋殿」
いつもと変わらない穏やかな笑みで在政が頭を下げる。
あたしはその半歩後ろで控え、一緒に頭を下げた。
すごい…威圧感だ。
この場にいる織田の家臣と、あたし以外の桜牙門の家臣が、空気だけでバチバチと喧嘩しているのが分かる。
「道中、長旅だったであろう?」
「それほどでも、織田の領地までの道のりは、目の惹かれる花々や蝶がいましたのでね」
こんな空気の中、笑顔なのはこの2人くらいだ。
あぁ、やだ、帰りたい。
さすがのあたしも、胃が痛くなりそう。
「桜牙門は、織田と同様、中立の立場であるな」
信秋の言葉に、一気に空気が張り詰める。
うわ、いきなり突っ込んでくるんだ。
どう出るの、在政。
あたしは、在政に視線を向ける。


