「今や徳川の世。徳川は目を光らせているうちは、織田も大きな動きは出来ない…」
在政はそう言って、難しい顔をする。
「ただ、それは表だって動けない、というだけの事」
「それは……」
なら、静かに、まるで浸潤するようにジワジワと根を伸ばしていく事は出来るって事??
「織田は、つい最近もこうして他国を招待し、自分の領地と化したんだ」
「っ!!って事は、この招待は、言わば自分の領地にするための……」
織田は、桜牙門の領地を狙ってる??
表向きは招待って形で、もし断ったりしたら…。
「桜牙門が中立なのには、理由があるんだ」
「理由?」
「どこかの領地に属せば、必ずと言って良いほど、戦に巻き込まれる。一番苦しむのは、民なんだ」
そう、在政は誰よりも戦を嫌った。
どこかの領地の争いを耳に挟む度に、自分の事のように心を痛めているくらいだ。
それを、他の領地の当主や、家臣の中には、「臆病者」、「若造だから」と馬鹿にする者もいたけど、あたしはそうは思わない。
在政は、19という若さで、誰よりも平和な領地の在り方を見据えていた。


