『忍姫恋絵巻』



ニヤケそうになる顔を引き締めながら、あたしは在政の横で馬を走らせる。


「あと3日もすれば、織田の領地まで着くよ」

「織田の当主って、織田 信秋だっけ」


確か、織田家は戦国時代に天下に最も近かった。
でも、身内の家臣の謀反により、一度は滅んだとされた。


「そう、今は私たち桜牙門の領地と同じ中立の立場でこの日の本に存在しているね」

でも……。
今も裏では着々とまた天下を狙おうとしているともっぱらの噂だ。


「"今は"って、在政も織田が何か企んでると思ってる?」


在政は、普段のほほんとしているようで、実は鋭い。
それは、出会ったときから感じていた。


まるで、物事を、時には人の心を見透かすような、千里眼の持ち主だとあたしは思ってる。