事件後の聴取で、少女に対しても『数年もの間、また男が服役している間に逃げる機会はなかったのか』という疑問が呈され、少女が監禁状態にある時、犯人と運命共同体であるかのように錯覚し始め、やがて犯人への共感を示すようになるストックホルム症候群の状態にあったのではないかとの見方もあった。

しかし、これは後に男の精神鑑定を担当した医師により否定され、精神鑑定書にも併せて記述された。

少女は『縛られなくなってからも、常に見えないガムテープで手足を縛られているような感覚でした。気力をなくし、生きる為にこの部屋から出ない方がいいと思いました。男は気に入らないとナイフを突きつけるので、生きた心地がしませんでした。大声で泣きたかったけど、叫び声を押し殺しました。決して男と一緒にいたかった訳ではありません』と供述している。

また少女は男を評して『憎いとか怖いとか、そんな感情を出すのが勿体無いほど、最低の人だ』と語っている。

もし男が脱獄せず、服役したままだとしたら、少女はどうなっていたのか。

見えないガムテープに縛られたまま、この狭い牢獄に一生閉じ込められたままだったのかもしれない…。