そんな最中に。

「そりゃあアレか。儀式か何かか?」

間の抜けた、ともいえる声が飛び込んできた。

咄嗟に環を放し、向き直る象男。

黒尽くめの男が、立っている。

(巽さん…?)

意識朦朧とする中、そんな事を思う環。

しかし、立っているのは巽とは対極に位置する男だった。

ブラックレザーのライダースーツを纏う男。

松岡 雄作。

「バイクを取りに来てみりゃあ、レアなもん見ちまったぜ。怪奇、象男ってか?」

「……」

象男は松岡を凝視する。

「おいおい止せ止せ。そんな象面でガン見されたらキモイって」

「マハルーチカの愚弄は万死に値する」

「発言までキモイな。お前友達いねぇだろ?」

「その不遜、来世までもかけて償うがよい」

象男は松岡に突進した!