「受け取りたまえ、食したまえ…マハルーチカ・ウエミ・ラダ・チャイローマナ…」

意味不明な呪文か真言かを唱えながら、環の体を車体に押し付ける象男。

「う…あぁあ…!」

肩が外れそうだ。

怪力で押し付けられながら、環は呼吸すら儘ならない。

押し潰すつもりなのか。

それとも圧迫して窒息させるつもりなのか。

何にせよ、この変質者は『魂を捧げよ』などと口走っていた。

その言葉から察するに、環を殺すつもりなのだろう。

どこかの聞いた事もない神様の生贄にする為に。

「か…は…!」

途切れ途切れに吐き出すように、何とか息をする環。

目の前が明滅する。

圧迫されているせいで、脳に血液が循環していないのか。

意識が飛びそうになる。

死ぬ…!