診療所にいたのは、美奈と診察台に座る雛罌粟だった。

「またお前か」

呆れた顔をする巽。

売春なんてやっているから、おかしな奴にレイプされそうになるのだ。

そんな風に考えていた巽だが。

「違います…」

雛罌粟は抑揚のない声で言いながら、セーラー服の襟元を見せた。

くっきりと残る、青紫色の縊溝(いっこう、首を絞めた痕)…。

「こりゃ相当な力を加えられてるな…」

「痕が大きい…かなり体格のいい人物だな…よく逃げられたな」

巽と倉本が口々に言う。

「『マハルーチカは美しい少女の魂を求める。お前もマハルーチカの糧となれ』」

雛罌粟は呟く。

「私の首を絞めた象の仮面の男は、そう言っていました…」