「…邪魔をしたな」

倉本や巽達に何の情報を提供する事もなく、現場を立ち去っていく永瀬。

「相変わらず感じ悪ィ。これだから公安の連中は…」

ケッと吐き捨てる耕介。

「…止むを得ん。自分達は自分達で、独自の捜査をするまでだ」

死んだ妻が公安の捜査官だった事もあり、倉本は寛容な姿勢を見せる。

「流石徳さんの部下だな。物分かりのいい事で」

耕介が溜息をつく。

「おい蓮杖、お前倉本さんに言葉が過ぎるぞ」

巽が再び窘めるのを軽くいなして。

「ヘイヘイ、嫌われもんの探偵は失せるとしますかね」

耕介はやっと事件現場から出て行く。