「断る…つったら?」

「てめぇ!」

巽が吠えた。

「組員(こ)の不始末は組長(おや)の責任なんだろうが!あんだけの事やっといて、四次団体五次団体の勝手にやった事なんて言い訳は通用しねぇぞ!」

「んな事ぁわかってらぁ」

鬼首は巽をギロリと睨んだ。

「組員(こ)の不始末は組長(おや)の責任、堅気にゃ手を出さねぇ…昔ながらの昭和の極道の任侠精神だが、極道にとっちゃ一番大事な事だ。今じゃそういう漢気ある極道も減っちまったがな。俺も仮にも極道だ。そこらへんを曲げるつもりはねぇ。だが」

着ている上着を脱ぎ捨てる鬼首。

「同時に俺達ゃ面子を何より大事にする。面子で生きてんだ。一番の仇敵の警察相手に、同行しろって言われてハイそうですかって言う事聞いてやる訳にもいかねぇ。潔くねぇと取られるかもしれねぇが…」

鬼首は拳を握り締めた。

「それが極道ってもんだろう」